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令和5年度飼料穀物備蓄・流通合理化事業 事業成果報告
令和6年4月
令和5年度飼料穀物備蓄・流通合理化事業(飼料輸送効率化等支援事業)事業成果報告書
1.事業の目的・背景
四日市地区の養鶏場では、農家自身及び飼料輸送を行っている配送事業者のドライバーが飼料タンクに上り、目視で在庫を確認しているのが現状である。しかしながら、
配送事業者のドライバーによる確認は飼料の納品日のみであるため、担当者の不在や、在庫確認漏れに伴う在庫切れ等が発生することがある。在庫切れが起こった場合、
急遽発注し配送を依頼することになるが、配車の関係上、希望日に納品がされないこと、夜間の配送になればコストも増加するため、適正な在庫管理を行い、飼料輸送の安定化と効率化を図る必要がある。
本事業において、IoT機器(超音波センサーによる飼料タンク残量管理システム)を導入し、配送回数の削減、輸送にかかる所要時間の削減等の飼料輸送の効率化を図るための実証を行った。
2.飼料輸送効率化等支援事業 取組内容
四日市地区の養鶏場にIoT機器(超音波センサーによる飼料タンク残量管理システム)を導入し、関係者間(畜産を営む者、配送事業者、卸売業者、配合飼料製造業者)で在庫量等のデータを収集し情報共有を行い、
配送回数の削減、輸送にかかる所要時間の削減等の飼料輸送の効率化を図るための実証を行う。
飼料配送業務は、高所作業に関する安全対策が必要だが、本実証により配送時のドライバーの在庫確認が不要となり、在庫確認の回数(高所作業頻度)が減ることから、
飼料配送業務を安定的に安全に行えるようになるとともに、在庫確認にかかる所要時間の削減が出来ることで今後も人員を継続的に確保することが可能となる。
あわせて飼料輸送にかかる温室効果ガス排出量の削減などの効果も期待できる。
採卵養鶏農場の場合、オールイン・オールアウトで鶏が増減するため、飼料の急激な増減が発生する。リアルタイムで在庫が把握できていれば、
オールアウトの日程の変更により至急飼料が必要になる場合でも対応でき、合理的な在庫管理及び配送計画の策定が可能となる。
3.事業の結果
タンク残量確認機器導入後、データを分析したが、飼料タンクの上部蓋部分よりセンサーを打ち出し、その反射されたセンサーを収集して残量を確認する機器の為、
メーカー発表の飼料の体積と実際に納品される飼料の体積では移動や投入時の作業を経ると体積がずれてしまう事が分かった。飼料体積が実際と異なっていた為、
12月までのデータが実証に使用するデータとしては不適切であった。その為、1月に飼料体積の数値を再設定しなおし、校正後の令和6年2月と3月を比較対象とした。
効率化等に関する目標である、荷下ろし時の在庫確認にかかる所要時間については、取組前数値90分に対して85分に減少した。
また、補充せず在庫確認のみを行うタンクの在庫確認の回数は、機器導入後(再設定後)は令和6年2月13回・3月26回と減少した。
平均すると、取組後月平均19.5回となり取組前に比べ61%減少となった。温室効果削減に関する目標については、取組後は55.8tとなり、取組前に比べ7%減少となった。
4.成果(得られた効果や知見)
上記の実証に取り組んだ結果、高所作業に関する安全対策としては特に成果があった。
センサーを有効に利用するには、飼料体積の数値を、メーカー発表数値から実際の数値に修正する必要があるが、実際の飼料体積に近い数値で運用すれば、
タンク残量を目視に頼らない形で運用が可能である。リアルタイムの飼料残量を関係者(畜産を営む者、配送事業者。卸売業者)で共有すれば、輸送効率化に成果が見込める。
※リアルタイムの在庫状況
5.考察
大型農場や、農場自体が農場事務所から離れている事業者にとっては、物流の2024年問題は無視できない問題になると言われている。本事業の機器を有効に使用することは、
効率化を図れると言う点で重要になってくる。
※飼料タンク残量のグラフ化
6. 本事業を行ったことで判明した今後の課題や改善点
本事業の対象機器は、飼料タンクの上部蓋部分よりセンサーを打ち出し、その反射されたセンサーを収集して残量を確認するものであるが、メーカー発表の飼料の体積と実際に納品される飼料の体積では移動や投入時の作業を経ると体積がずれてしまう。
納入後の調整が必要である事は十分に留意して、関係者に周知して機器導入を進める必要がある。
三昌物産飼料流通効率化協議会